オールオン4とは?
費用の相場やメリット・
デメリットについて解説
歯を多く失ってしまった場合、総入れ歯やインプラント治療など、いくつかの治療法があります。
その中でも注目されているのが、オールオン4というインプラント治療法です。一本一本埋入が必要なインプラントよりも少ない本数で、全体の歯を支えることができるこの治療法は、外科的負担を軽くしたり、治療期間の短縮ができたりと、多くのメリットがあります。
この記事では、オールオン4とは何か、その特徴や他の治療法との違い、メリット、デメリット、費用相場まで詳しく解説していきます。
オールオン4とは?

オールオン4とは、最少4本のインプラントで、上下顎どちらかの、全ての人工歯を支える治療法です。
今までのインプラント治療では、失った歯の本数と同じだけのインプラントを埋め込む必要がありますが、オールオン4では最少前方2本+後方2本という構造で、少ない本数でもしっかりと義歯を固定することが可能になります。
特に骨の量が少なくなっている高齢者の方や、全顎的に歯を失っている方に適しており、即日で仮歯まで装着できることも大きな特長です。
1歯ずつの
インプラントとの違い

本数の違い
1歯ずつのインプラント治療では、1本ごとにインプラントを埋入する必要があります。
それに対し、オールオン4は最少4本のインプラントで人工歯を支えることができます。
埋入方法の違い
オールオン4では、後方のインプラントを斜めに埋入することもできるため、骨の少ない部位を避けて埋入が可能です。
治療期間と費用
1歯ずつのインプラントでは、治療に数ヶ月〜1年以上かかることもあります。
また費用も1本あたり数十万円と高額になるため、総額で数百万円になるケースもあります。
オールオン4は本数が少ないため費用も時間も減らせるという特徴があります。
インプラント
オーバーデンチャー
との違い

取り外しができるかどうか
インプラントオーバーデンチャーは、取り外し可能な入れ歯を数本のインプラントで支える構造です。
一方、オールオン4は基本的に固定式で、患者様ご自身が取り外すことはできません。
装着感、安定性の違い
オーバーデンチャーは比較的動きが出やすいのに対し、オールオン4は人工歯がインプラントにしっかりと固定されているため、食事中にずれることも少なく、違和感の少ない装着感が得られます。
オールオン4のメリット

手術当日に仮歯が入る
オールオン4は、一本ずつ埋入するインプラント治療と比べて、治療期間が短くて済むのが大きなメリットの一つです。
手術当日に仮歯を装着できる即時荷重という手法が可能であるため、術後すぐに見た目を回復できるだけでなく、会話や食事もある程度できるようになります。
骨造成が不要な場合が多い
通常、骨が不足している場合には骨造成やサイナスリフトといった追加手術が必要になりますが、オールオン4では後方のインプラントを斜めに埋入する傾斜埋入という技術を用いることで、骨の少ない部分を避けながらしっかりと固定することができます。
これにより、費用や治癒期間を減らすことができるため、高齢の方や持病のある方にとって負担の少ないメリットのある治療法といえるでしょう。
少ないインプラントで済む
失った歯1本ごとにインプラントを埋入する必要がなく、上下それぞれ4本ずつ、計8本で全顎の補綴を行えるのがオールオン4の大きなメリットです。
固定式でしっかり噛める
取り外し式の入れ歯と違って、オールオン4はインプラントによってしっかりと固定されているため、強く噛んだ時も動いたり外れたりすることがありません。
これにより、硬い食べ物も安心して噛めるようになり、食事の楽しみが増します。ガタつきやズレによるストレスもなくなり、自分の歯のように使えます。
オールオン4のデメリット

外科手術が必要
インプラント治療である以上、オールオン4も外科的手術を伴います。
局所麻酔下で行われることが多いとはいえ、痛みが出る可能性は通常のインプラント治療と同じようにあります。
また、高血圧、糖尿病、心疾患などの持病がある方は、主治医との連携が必要になる場合もあり、身体的なリスクを考慮した上での治療判断が求められます。
全身疾患や骨の状態によっては
適用できない
オールオン4は良い治療法ですが、あらゆる方に適応するわけではありません。
特に、極端に骨が吸収されてしまっている場合や、顎骨の密度が低いケースでは、インプラントの固定が難しくなることがあります。
また、重度の糖尿病や放射線治療後の方など、骨の治癒能力が低下している症例では、安全性を考慮して他の治療法を検討する必要があります。
インプラント周囲炎のリスクは
変わらずある
インプラントはむし歯にならない代わりに、インプラント周囲炎と呼ばれる歯周病のような病気にかかることがあります。
特にオールオン4は、複数の歯を一体型で支えているため、1か所のトラブルが全体に波及する可能性もないとはいえません。
定期的なメンテナンスや歯科医院でのオールオン4を外してのクリーニングを必ず受けるだけでなく、普段からの正しいブラッシング習慣が大切です。
一度にかかる費用が高額
健康保険が適用されない自由診療のため、治療費は高額になりがちです。
分割やデンタルローンも使えますが、一つの治療でかかる金額としては、患者様にとって負担といえるでしょう。
ただし、長期的に見ればコストが抑えられることや、全顎にインプラントを一本一本埋入するよりも費用が抑えられることから、結果的に費用対効果が高いと感じる方も少なくありません。
破損時の影響が大きい
オールオン4の補綴物は複数の歯が連結した一体型になっているため、例えば一部の人工歯が割れたり、土台が損傷したりした場合、部分的な修復では済まず、全体を作り直す必要が出るケースがあります。
その分、修理や再作製にかかる費用や時間も大きくなるため注意が必要です。
また、1本インプラントに不具合が生じた場合も全体に影響が及びます。再治療の際には、新たなインプラントの追加や骨造成、補綴の全面的な再設計が必要になる場合もあり、治療選択肢が限られる可能性もあります。
自分の歯が残っている時は
事前治療が必要
オールオン4は、基本的に全ての歯を失った方、もしくは残っている歯の保存が難しい方を対象とする治療です。
そのため、数本でも機能していない歯が残っている場合には、あらかじめそれらの歯を抜歯して、顎の状態を整えておく必要があります。
オールオン4が
おすすめの方

喪失歯が多い方
オールオン4はご自分の歯がある方は適用範囲外となります。
そのため、全顎的に歯を失っている方や、総入れ歯にしていて合わないと感じている方にはおすすめの治療法です。
骨量が少ない方
一本ずつ埋入するインプラント治療と違い、埋入する場所を比較的選べ、骨造成が不要な場合が多いため、他院で断られた方でも可能なケースがあります。
歯が入らない期間をなくしたい方
即時加重という方法で、手術当日に仮歯を装着できるため、見た目や機能をすぐに回復したい方に向いています。
ただ、あまり強い力をかけると傷口の負担になるため、基本的には当日に見た目を回復できる方法と考えておくのが良いでしょう。
オールオン4の費用相場

オールオン4の費用は、上下いずれか片顎で約200万~400万円が一般的な相場です。
これには、診査診断料、手術費用、インプラント本体、仮歯や最終補綴物、通院費などが含まれることが多いですが、詳細は歯科医院によって異なります。
また、上下両顎で治療する場合は400万~800万円程度となるケースもあります。
分割払いや医療費控除の対象となる場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。
メリットの多い治療法、
オールオン4

オールオン4は、多くの歯を失ってしまった方にとって良い選択肢です。
特に骨量が少ない方や短期間での咬合の回復が必要な方にとっては多くのメリットがあります。
一方で、外科的リスクやメンテナンスの必要性は変わらずあり、費用面での負担や破損時のリスクもあるため、治療前に信頼できる歯科医院で十分な相談を行うことが大切です。
オールオン4の治療をお考えの方はぜひ当院にご相談ください。