インプラントと
ブリッジとの違いとは?
費用の目安と
メリットについて解説
歯を失ってしまった時、治療方法として多くの方が検討するのが、入れ歯に加えて、インプラントとブリッジです。
どちらも欠損部分を補う、補綴治療と呼ばれる治療法ですが、それぞれに特徴やメリット、デメリットがあり、治療期間や費用面も異なります。
見た目を重視する方、周囲の歯をできるだけ残したい方、あるいは費用を抑えたい方など、人によって優先したいポイントに合った選択をすることが重要です。どちらを選ぶべきか、費用に見合った効果はあるのかと悩む方に、この記事ではインプラントとブリッジの違いをわかりやすく解説します。
インプラント、ブリッジ
それぞれの特徴

インプラントとは、失った歯の部分に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。人工歯根が顎の骨と結合することで、天然歯に近い咀嚼力と見た目を得られます。
一方、ブリッジは失った歯の両隣の歯を削って土台にし、連結した人工歯をかぶせる治療法です。固定式であるため、取り外しの必要がなく、比較的短期間で治療が完了します。
インプラントの
メリット・デメリット

インプラントのメリット
インプラントのメリット①:
周囲の歯を削らない
インプラント治療の大きな特徴の一つは、失った歯の部分だけを補える点にあります。ブリッジ治療のように、両隣の歯を削って支えにする必要がありません。
そのため、周囲の歯へのダメージが抑えられ、長期的に見ても残存歯の寿命を延ばすことができます。
天然歯を守りたいという方にとって、大きなメリットと言えるでしょう。
インプラントのメリット②:
噛む力が強く、違和感が少ない
インプラントは顎の骨に人工歯根を直接埋め込むため、しっかりと骨と結合し、天然歯に近い強い咀嚼力を回復できます。
硬いものも噛むことができ、日常の食生活においてもほとんど違和感がありません。
インプラントのメリット③:
見た目が良い
インプラントに装着する人工歯は、セラミックなどの審美性の高い素材を選ぶことで、天然歯とほとんど見分けがつかない仕上がりになります。
前歯など、見た目が特に気になる部分の欠損にも適しており、審美歯科の観点からも非常に満足度の高い治療法です。
インプラントのメリット④:
取り外しの必要がない
インプラントは一度装着すれば、基本的に自分の歯のように扱うことができ、毎日取り外して洗うといった手間がありません。
入れ歯のような不安定さもなく、就寝時も装着したままで問題なく過ごせます。
インプラントのメリット⑤:
耐久性が高い
決められたメンテナンスを継続することで、インプラントは非常に長持ちします。
10年以上使用しているケースも珍しくなく、20年以上問題なく使える例もあります。
人工物であるためむし歯にはなりませんが、インプラント周囲炎の予防は必要となるため、定期的な検診とクリーニングが必要です。
インプラントのデメリット
インプラントのデメリット:
治療期間と費用がかかる
インプラントは外科手術を伴う治療であり、骨としっかり結合するまでに数ヶ月を要します。
また、使用する材料や技術、術後のメンテナンスも含めると、全体として費用は比較的高額になります。
その分だけ得られる機能性、審美性は高いですが、一度に大きな出費となることは覚えておきましょう。
ブリッジの
メリット・デメリット

ブリッジのメリット
ブリッジのメリット①:
短期間で治療が完了する
ブリッジ治療の大きな利点は、比較的短い期間で治療が完了することです。歯の型採りから装着まで、症例によっては2回~3回の通院で済む場合もあり、早く機能と見た目を回復させたいという方にとっては大きなメリットとなります。
ブリッジのメリット②:
固定式で違和感が少ない
ブリッジは口の中でしっかりと固定されるため、装着時にずれることがなく、話す、食べるといった日常の動作でも違和感が少ないという特徴があります。
装着していることを忘れるほど自然な感覚が得られる点は、多くの患者様から高く評価されています。
ブリッジのメリット③:
保険適用も可能
使用する素材によっては健康保険が適用されるため、費用を大幅に抑えることができます。
例えば銀合金などの保険適用素材を使用することで、1本あたりの自己負担額を数千円〜1万円程度に抑えられる場合があります。
経済的な負担を最小限に抑えつつ、早期に咀嚼機能を回復したい方に適しています。
ブリッジのデメリット
ブリッジのデメリット①:
健康な歯を削る必要がある
ブリッジ治療では、欠損歯の両隣にある歯を削って支台歯として利用します。
一度削ってしまった歯は元に戻らないため、長期的に見るとその歯の寿命を縮めてしまうリスクもあります。健康な歯をできるだけ温存したいという観点からは、注意が必要です。
ブリッジのデメリット②:
土台の歯に負担がかかる
ブリッジは構造上、支台となる歯に力が集中しやすい特徴があります。
特に奥歯など強い力がかかる部位では、噛む力の負担が支台歯に直接伝わるため、歯が割れたり、神経にダメージとなり痛みが出たりするリスクが高くなります。
長期的に使用しているうちに支台歯が弱ってしまい、最終的には抜歯が必要になるケースもあるため、定期的なチェックが欠かせません。
ブリッジのデメリット③:
ブリッジの下の清掃が難しい
ブリッジは人工歯が歯肉の上に橋渡しされている構造のため、欠損部分と歯肉の間の隙間に食べかすやプラークがたまりやすくなります。
機能的には問題はありませんが、ブリッジの下を清潔に保つためには、特別なケアが必要になります。
具体的にはブリッジ専用のフロスなどの補助清掃用具を使って、人工歯の下を丁寧に清掃する必要があります。
お手入れを怠ると、支台歯の根元にむし歯や歯周病が発生し、せっかく装着したブリッジの寿命を縮めてしまう原因にもなりかねません。
インプラントの価格

1本の場合
インプラント1本あたりの費用相場は、30万円~50万円程度です。これには、診断料、手術費用、被せ物の費用が含まれるのが一般的です。
複数本や全顎の場合
複数本の場合は、本数に応じて費用がかさみます。
基本的には値段×本数ですが、全顎インプラントやAll-on-4といった治療法では、総額が抑えられるケースもあります。
ブリッジの価格

保険診療の場合
保険適用のブリッジであれば、1本あたり1万円~2万円程度で済むこともあります。ただし、銀歯など素材に制限があります。
自費診療の場合
セラミックブリッジなど審美性の高い素材を使用する場合は、1本あたり10万円~20万円程度が相場です。
インプラントとブリッジ、
どうやって選べばいい?

歯の状態を確認する
治療法を選ぶ際には、まずご自身の口腔内の状態を把握することが重要です。残っている歯の本数やその健康状態、歯肉や骨の質などによって、適した補綴方法は変わります。
例えば、両隣の歯が健康で虫歯や歯周病がない状態であれば、削らずに済むインプラントの方が望ましい選択といえます。
一方、隣の歯がすでに被せ物になっている場合や、支台に適しているならブリッジを選ぶことも現実的な選択肢となります。
歯科医師による診査、診断をもとに、自分の状況に合った方法を選びましょう。
予算に合わせて選ぶ
治療費も、選択の際の大きな判断材料になります。
ブリッジは保険適用の範囲で治療できることも多く、初期費用が抑えられる点がメリットです。
一方でインプラントは基本的に自由診療であり、1本あたり30万円〜50万円程度と高額になります。
ただし、長期的に見れば、インプラントは支台の歯を削る必要がないため、周囲の歯を守れるという点で、結果的に再治療のリスクを減らし、トータルコストを抑える可能性もあります。
治療後にどれだけ長く快適に過ごせるかを含めて費用を考えることが大切です。
残っている歯の本数の問題
治療法を選ぶうえで、欠損している歯の本数やその位置も大きな判断基準となります。ブリッジは基本的に1本欠損や2本連続欠損程度であれば対応できますが、3本以上の連続欠損や両隣の歯がすでに失われているようなケースでは、物理的に支えがなくなるため適応できません。
長いブリッジを無理に装着すると、支台となる歯に過度な力がかかり、将来的に歯が割れたり、脱落したりするリスクも高くなります。
そのため、多数歯が欠損しているケースでは、インプラントを適切な位置に複数本埋入し、ブリッジのように連結して固定するインプラントブリッジやAll-on-4などが向いていることもあります。
残っている歯の本数、噛み合わせ、全体のバランスを総合的に考慮しながら、歯科医師と一緒に適切な治療計画を立てることが大切です。
補綴治療の選択肢として

インプラントとブリッジは、それぞれに特徴があり、患者様の希望や口腔内の状態によって適した治療法が異なります。
費用だけでなく、治療期間、将来的なメンテナンス、そしてご自身の歯をどう守っていきたいかという視点を大切にして、じっくり検討することをおすすめします。
まずは信頼できる歯科医院でしっかりとカウンセリングを受け、ご自身に合った最善の治療を選んでください。